一人親方が建設現場へ入場制限?その対策とは?

数年前から建設作業員の社会保険への未加入が問題になっています。

国により段階的に対策が進められており、平成29年4月からは「社会保険未加入の作業員は現場入場を認めるべきではない」という事が「社会保険加入に関する下請指導ガイドライン」に明記されています。

「適切な保険に加入していない作業員は現場に入れない」

これは個人で仕事を請け負っている一人親方には死活問題です。

一人親方が加入すべき社会保険とは

日本の社会保険制度は、「医療保険」と「年金保険」のセットで加入する必要があり、どちらか一方だけ加入することはできません。

一覧表を見て分かるように一人親方は、医療保険は「国民健康保険」、年金保険は「国民年金」への加入が義務付けられています。

国民健康保険

国民健康保険は、市町村国保と国民健康保険組合であります。

  • (1)国民健康保険制度とは、自営業者や無職の方が加入する市区町村国民健康保険
  • (2)同業同種の個人事業の自営業者で組織する国民健康保険組合

があります。

国民健康保険は市区町村の「地域」によって加入し、国民健康保険組合は「業種や職種」によって加入する点に違いがあります。どちらも同じ国民健康保険法に基づいて運営されています。

国民年金

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方はすべて国民年金に加入することになっています。

一人親方をはじめ自営業者、農業や漁業に従事している方は国民年金の保険料を自分で納めます。このような方を国民年金の第1号被保険者といいます。

会社員から独立して自営業を営むのであれば、前職の退職日から14日以内にお住みの市区町村において、国民年金の手続きをする必要があります。

一人親方労災保険(特別加入)

労災保険は、本来、労働者の保護を目的とした制度ですので、事業主、自営業者、家族従事者など労働者ではない者は、保護の対象とはなりません。
しかし、労働者でない者の中には、業務の実態や災害の発生状況などからみて、労働者に準じて保護することがふさわしい方がいます。その方たちを保護する制度です。

社会保険に未加入だと何が起こるか

社会保険に未加入の場合、病気やケガの際の費用の問題だけではなく、仕事の受注などにも関係してきます。

社会保険未加入は仕事の受注に影響

社会保険の未加入業者は、前述のように公共工事の受注で一次下請け契約ができなくなり、公共工事の入札で不利な扱いを受けることになります。

さらに、

  • 「社会保険に未加入の業者との契約をするべきではない」
  • 「未加入の作業員の現場入場を認めるべきではない」

との国土交通省の見解も出されています。社会保険の未加入は、建設業者にとって死活問題になる可能性があります。

年金事務所などの調査で、社会保険に加入義務のある事業所が未加入と発覚すると、最大で2年分の社会保険料が追徴金として課されるおそれがあります。

悪質とみなされた場合には、6ヵ月以下の懲役あるいは50万円以下の罰金を科されるケースもあります。

実態が雇用労働者であるにもかかわらず、一人親方として仕事をさせていることが疑われる例の取扱いについて

社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」において、

  • (1) 10 代の技能者で一人親方として扱われているもの
  • (2) 経験年数が3 年未満の技能者で一人親方として扱われているもの

については、未熟な技能者の処遇改善や技能向上の観点から雇用関係への誘導を求めているされています。

ただし、働き方自己診断チェックリストで働き方を確認した結果、雇用労働者に当てはまらず、かつ請け負った工事に対し自らの技能と責任で完成させることが出来る場合は、元請企業、直接一人親方と請負契約を締結する企業及び一人親方の3者で確認をとった後に、一人親方として現場に入場することは差し支えないとされています。

元請業者に法定福利費を明示した見積書を提出

国土交通省は建設事業者に対して、法定福利費を元請業者への請求額に反映させるように指導しています。法定福利費とは、企業が従業員の社会保険料を支払うために必要な費用です。元請業者に見積書を提出する際には、見積もり条件が決められているケースでも、法定福利費を内訳として明示し、納めるべき社会保険料を確保できるようにすることが大切です。法定福利費を含まない建設請負契約は、建設業法の不当に低い請負契約の禁止にふれるおそれもあります。

社会保険 未加入問題解消のため

建設業の見積書に法定福利費の記載が義務付けられるようになった一番の原因は、社会保険への未加入問題です。

企業が本来加入すべき保険に加入しないまま業務を続けていると、従業員は公的保障を受けられません。
健康保険であれば怪我をしたときに保険が適用されず、厚生年金保険であれば老後に年金を受け取れないなどの問題があります。

建設業界全体にマイナスなイメージがつくと、不利な環境で働きたくない人材はどんどん建設業界から離れてしまいます。

人材不足が懸念される建設業界において、職場環境を改善することが重要になっています。