労働者を一人親方として偽装する「一人親方」が問題を考える。

会社と雇用関係を結ばず、技術者が個人事業主となる“一人親方”。

一人親方は、「個人事業主として仕事を遂行できる能力がある」とされている一方で、長時間労働や有給休暇の規制逃れや社会保険料の削減などの目的から、労働者を一人親方として偽装する「偽装一人親方」が問題となっています。この状況を受けて、国土交通省では一人親方問題に対する検討を進めています。

偽装一人親方問題は、労働者の処遇の悪化や建設業界における公正・健全な競争環境を阻害しかねないという問題もあります。企業としては、、起こり得る可能性のあるリスクを十分理解しておくとともに、法令遵守、適切な対応が求められます。

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偽装「一人親方」問題のリスク

企業が従業員の一人親方化を検討する際は3つのリスクに注意する必要があります。法律上定められているルールを守るとともに、企業と従業員間でトラブルに発展しないよう事前対策することが大切です。

違法就労になる可能性(厚生労働省『法違反の防止、是正等に関する資料』)

一人親方は、会社と雇用関係を結んでいません。請負契約や委任契約といった契約形態によって独立して業務を行います。

  • 請負契約とは、発注者に依頼された仕事の完成や、成果物を納めることを目的とした契約
  • 委任契約とは、発注者に依頼された業務の提供または業務を提供したことによる成果を目的とした契約

ただし、請負・委任の契約形態であっても、働き方が「労働者と同様」と判断される場合があります。このような働き方は一人親方として認められません。実体が労働者であるにもかかわらず、労働者を一人親方に移行させて業務を行わせることを「偽装一人親方(偽装請負)」といいます。

労働者の一人親方化(偽装一人親方)は労働者派遣法及び職業安定法など違法就労として法律上で禁止されており、違反すると罰則を受けるだけでなく、建設業許可が取消になる可能性があります。

通常の請負契約では、事業者が一人親方に対して社会保険料や労災保険料を支払う必要はありませんが、一人親方が労働者として取扱われる場合には、事業者に法定福利費の支払い義務が生じます。

法定福利費の納付を怠っていた場合には、保険料をさかのぼって徴収されるケースもあるため、企業にとっても大きな負担となり得ます。

請負契約になるか、雇用契約になるかの線引きは明確です。元請会社として建設現場に一人親方を使用する場合には注意が必要です。

建設業許可がない一人親方との下請け契約

下請契約をする場合は、請け負った工事のすべてを下請にさせること、いわゆる丸投げは禁止されております。建設業法では公共工事を除き、発注者が書面で承諾した場合は、一括して下請に出すことは可能とされています。

また、工事金額についても、1件の請負代金が500万円以上の建築一式工事以外の工事を行う場合、建設業法上の許可がなければ工事を請け負うことができないため、一人親方に発注することが難しいケースも生じます。(建築一式工事については、1500万円未満または150㎡未満の木造住宅工事)

一定額以上の工事を一人親方に依頼する場合には、一人親方側に建設業許可が必要です。

元請から材料の提供があった場合には、その費用も合算して判断するため、要件を満たしているか慎重に判断する必要があります。

また、軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする場合を除き、無許可の一人親方と下請け契約を結ぶことは建設業法違反となり、不正行為を行った企業は指示処分や営業停止を命じられるケースもあります。
一人親方に一定額以上の仕事を依頼する場合は、建設業許可を取得していることが必要になります。

大工や左官などの一人親方を使用する場合、労災の扱いについてあらかじめ確認しておくことが必要であります。一人親方は通常は労災保険に加入できず、個人事情主の労災を対象とした特別加入制度を利用することになります。そのため、一人親方と下請契約をする場合は、加入の確認をする必要があります。

一人親方労災への未加入により、元請責任を問われる可能性もある

企業が従業員を雇用している場合は、企業が労働者に対して労働保険の加入・保険料の支払い義務があります。

一人親方として働いている場合は、労災保険の加入は任意です。
そのため、労災保険に特別加入していなければ、万が一労災事故が起きた際に労災保険の補償を受けられない場合があります。

雇用関係のない請負契約と判断される場合であっても、労働基準監督署の臨検などにより実質的に元請け事業者が使用者、一人親方が労働者となる場合は労働者性が認められ、労災の責任や労災保険の加入責任が元請けにおよぶ場合が増えています。

労働安全衛生規則等の改正で、作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるよう、新たに以下のような一定の措置を実施することが事業者に義務付けられます。

作業の一部を請け負わせる一人親方等に対する措置の義務化

  • 請負人だけが作業を行うときも、事業者が設置した局所排気装置等の設備を稼働させる(または請負人に設備の使用を許可する)等の配慮を行うこと。(有機溶剤中毒予防規則第18条第3項等)
  • 特定の作業方法で行うことが義務付けられている作業については、請負人に対してもその作業方法を周知すること。(労働安全衛生規則第 592 条の3第2項等)
  • 労働者に保護具を使用させる義務がある作業については、請負人に対しても保護具を使用する必要がある旨を周知すること。(労働安全衛生規則第 327 条第2項等)

同じ作業場所にいる労働者以外の人に対する措置の義務化

請負契約の有無にかかわらず、労働者と同じ作業場所にいる労働者以外の人(一人親方や他社の労働者、資材搬入業者、警備員など)に対しても、以下の措置の実施が義務付けられます。

  • 労働者を立入禁止や喫煙・飲食禁止にする場所について、その場所にいる労働者以外の人も立入禁止や喫煙・飲食禁止とすること。(労働安全衛生規則第 585 条第1項等)
  • 作業に関する事故等が発生し労働者を退避させる必要があるときは、同じ作業場所にいる労働者以外の人も退避させること。(有機溶剤中毒予防規則第 27 条第1項等)
  • 化学物質の有害性等の掲示は、その場所にいる労働者以外の人も見やすい箇所に掲示すること。(有機溶剤中毒予防規則第 24 条第1項等)

従業員やその家族の生活を保護するためにも、事業主が一人親方に対して適切な労働保険への加入手続きを進める必要があります。

一人親方問題に対する今後の方向性について

2019年の働き方改革関連法として施行された有給休暇取得の義務化されました。

2012年から始まった偽装一人親方問題に端を発した建設業の社会保険加入対策など国土交通省はこれまで以上に建設業の労働者の処遇改善や社会保険加入対策に本格的に行っています。

2020(令和2)年10月1日から新たに施行される改正建設業法では、社会保険への加入が建設業許可・更新の要件となりました。今後、偽装請負となり得る一人親方の基準を明確化する方向です。

また、2020年6月には、国土交通省が社会保険加入・働き方改革の規制逃れを目的とした一人親方化の対策として『建設業の一人親方問題に関する検討会』を設置しました。国土交通省は、「規制逃れを目的とした一人親方防止対策」「適正一人親方の目安の策定」など推進しています。

厚生労働省は、一人親方の労働者性についてのパンフレット等を作成し注意喚起をしています。
技能者の適正な雇用(労働契約)と請負契約に向けて、現場における一人親方の契約内容、就業実態の確認が求められています。

建設業の処遇・労働環境改善を図るために、国を挙げて社会保険加入対策が進められています。

これらの建設業法改正や労働基準法改正による有給休暇消化、残業規制の施行を契機に、一人親方や建設業全体の処遇・労働環境改善といった働き方改革により、さらなる強化が求められることと思います。今後どのような施策が実施されるか、一人親方の使用ルールについて、注意深く動向を見ていく必要があるでしょう。

建設業の社会保険加入率が上昇しましたがその一方で、法定福利費や残業手当、有給休暇など労働関係諸経費の削減を目的に労働者を独立させる一人親方化や、雇用関係の実体があるにもかかわらず偽装一人親方(偽装請負といったケースの増加傾向にあります。

一人親方問題は、労働者の処遇悪化は、違法就労として罰則を受ける可能性があるほか、建設業許可のない一人親方との契約は建設業法違反となる可能性もあります。

偽装「一人親方」問題の対策や社会保険加入問題を国土交通省が積極的に推奨する背景には、建設業の担い手不足が挙げられます。建設会社は、一人親方が安心して働ける環境の整備、人材確保・育成に対する取組みが必要になっています。

何が適正で何が不適正なのか、それに伴う社会保険加入の問題などについては、参考資料として以下のチェックリスト(国土交通省)があります。

参考資料

一人親方チェックリスト」(出典:国土交通省資料)

みんなで進める一人親方の保険加入」 (出典:国土交通省資料)

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