グレーゾーンとなっていた一人親方問題の改善を図ることが目的

建設業の一人親方問題に関する検討会の目的

技能者の処遇改善や法定福利費を適正に負担する企業による公平・健全な競争環境の整備等を図るため、学識経験者・建設業者団体等が一体となって、規制逃れを目的とした一人親方化防止対策、一人親方の処遇改善対策等の諸課題に関し、実効性のある施策を推進する.

規制逃れを目的とした一人親方化防止対策

1 社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂
・明らかに実態が雇用形態であるにもかかわらず、一人親方として仕事をさせている企業を選定しない取扱いとすべき
・適正と考えられる一人親方を具体的に記載
・適正でないと考えられる一人親方の例を記載 等
2 技能者に対して働き方が適正かどうか確認するための取組
働き方の自己診断チェックリストの活用
・一人で請け負って仕事ができる職種又は仕事の確認
・現場入場時の元請企業等による技能者本人へ働き方等のヒアリングの実施 等

一人親方の処遇改善策

3 適正な請負契約の締結・適切な請負代金の支払いについて 周知
・建設業法第20条第3項で定められている見積書に必要な14項目や、建設業法第19条第1項で定められている契約書に必要な15項目を盛り込んだ、建設工事の完成を目的とした見積書、請負契約とすること
「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を遵守する旨の周知
・一人親方に工事を請け負ってもらう場合、工事費のほかに必要経費を適切に反映させた請負代金を支払うよう元請企業が下請企業に指導 等

4 雇用契約を締結すべきと考えられるケースや契約内容等が適切でないケースの周知徹底及び契約内容の適正化
・特定企業の業務に専属的に使用し、労働日や始業・終業時刻を指定し、仕事の進め方や作業方法等について具体的に指揮命令を行い、賃金は就業した時間に応じて支払っているが、契約上は請負としている場合
契約内容が請負となっていない、報酬が労働時間・日数によって変動するような請負契約を締結している場合
・契約金額に労災特別加入の費用や支給されない資機材等の必要経費等が実質的に反映されず、同種の雇用している技能者と同額程度の報酬となっているような請負契約を締結している場合 等

5 一人親方問題における国土交通省・建設業界が政策的に推進する「適正一人親方の目安」の策定
「実務経験年数が10年程度未満」、又は「建設キャリアアップシステムのレベル3相当未満の技量」の技能者(例:10代・20代の技能者)が一人親方として扱われている場合は、処遇改善・技能向上の観点から、雇用契約の締結・社会保険への加入を促進
・実務経験年数が10年程度以上あり、建設キャリアアップシステムのレベル3相当以上の技術力を持つ技能者が一人親方として現場作業に従事している場合、目指すべき一人親方として政策的に誘導し、建設業法に基づく適正取引を周知

今後の検討課題や注意事項 等

○インボイス制度の周知徹底
・令和5年(2023年)10月からインボイス制度が始まるため、円滑な導入ができるよう周知を行う。

○建設キャリアアップシステムの活用についての検討
・建設キャリアアップシステムに一人親方として登録した事業主に対する各種サービスの検討
・(労働)災害が発生した際の就業履歴の確認 等

○建設雇用改善計画(第十次)との連携