一人親方?施工管理や現場監督の労災保険とは? 申請の流れとは?

「現場監督は一人親方労災保険に加入できますか?」というものがあります。
現場監督とは施工管理の仕事で、工事の進行や品質、予算や安全を担当する仕事です。通常、元請けの社員が行っていると思われますが、個人請負で発注会社から業務委託契約で現場監督をしている方も実際にはかなりいるようです。

現場監督の仕事とは

  1. 現地を確認し、設計図面を精査し内容を把握
  2. 設計・営業担当者と図面や予算について打ち合わせ、プランニング
  3. 工事工程表の作成
  4. 工程表に基づき職人・業者の手配と発注
  5. 着工から完成まで施工管理
  6. 中間検査・完了検査の立ち会い
  7. 業者・職人への支払いチェック

普通、工事現場で直接な工事作業をしていないことから労災保険は必要ないと考えられますが、なぜか一人親方労災保険に加入することを希望する方がいます。

労災保険とは

労災保険とは雇用されている立場の労働者が、業務上や通勤途中に怪我や疾病を患った際に保険を給付し、労働者やその遺族を守ための社会制度です。労災保険の補償対象になると、療養の費用の自己負担がなくなるほか、休業時の手当も健康保険で給付される傷病手当金よりも手厚い補償が給付されます。労災保険は雇用形態に関わらず1人でも労働者を雇用した場合に、会社は必ず労災保険に加入しなければならず、保険料は事業主が負担します。

加入する条件

労働者を1人以上雇ったときには、原則として労災には加入しなければいけません。手続きは所管の労働基準監督署で行います。正社員、アルバイト、パートなどの雇用する形態に関わりなく、1人でも労働者を雇った場合に課せられる会社への義務ですので注意しましょう。

労災保険は、雇用保険とまとめて労働保険といいます。雇用保険は雇用形態に関わらず31日以上の雇用見込みがあり、週労働時間が20時間を超える労働者を雇い入れる際に加入させる義務が生じます。

保険未加入は違法行為

労災は労働者を1人でも雇い入れた場合に、勤務時間や勤務形態に関わりなく加入しなければいけない強制加入の保険です。労災保険に未加入の場合、労働基準法違反となり、未加入の会社には当然ペナルティがあります。

遡っての労働保険料の徴収のほか、追徴金の徴収、労働者に支払われる労災給付金の費用の徴収などが罰則として決められています。

補償の内容

労働災害にあった場合、補償内容は、業務上によるものと通勤によるものに手続きがわけられます。提出する様式や給付名は違いますが、補償内容や算定基準には違いがありません。いずれも所管の労働基準監督署に書類を提出します。

補償の内容は「治療に関すること」「障害が残った場合」「怪我が長期間治らない場合」「被災労働者が亡くなった時の遺族へ」「休業期間」に補償金が受けられます。

業務によるもの

事業主の支配、管理下にて作業している際に生じた災害による怪我や疾病に関して労災が給付されます。疾病は、業務についていたときに発症したものではなく、業務上、発症に起因する有害因子に曝露されたことにより発症した疾病について補償されます。

補償の内容は治療に関すること、障害が残った場合、仕事を休んだ時の休業補償、被災者が亡くなった時の遺族への補償などの補償金が給付されます。

通勤によるもの

労働者が就業場所と家の往復や単身赴任先から帰省先への往復などで事故などの災害にあった場合に認定されます。ただし、「合理的な経路及び方法」に準じていなければいけません。合理的な経路とは一般的に認められている経路及び方法となります。

通勤によるものは「社会的な危険」に起因する怪我という認識なので、「補償」という言葉を使わずに「給付」となります。

業務上の労災とは給付内容の相違はなく、治療にかかるもの、障害が残った場合、仕事を休まざるを得ない場合、被災者が亡くなった場合の補償を行います。

労災保険の認定基準とは

労災保険の認定基準は「業務遂行性」と「業務起因性」に基づきます。業務遂行性とは事業主の指揮・命令のもとに就労しており通常予想される行為をしているときに負った怪我などを言います。

就業時間に就業場所での作業や就業前の準備、終業後の後始末をしているとき、生理的な必要行為で作業を中断しているときも「業務を遂行している」ことになります。

業務起因性は、業務についているときに発生した、ということを表します。「この業務をしていればこの怪我や疾病の危険性があった」と認められる場合のことです。

例え、業務中であっても、私的行為を行なっていた場合や故意に災害を発生させた場合には労災は適用されません。

業務災害の補償

業務災害の補償保険の認可は、事業主の支配下、管理下によって起こった災害によって負傷や疾病に罹患したときに認められます。

仕事と関係ない私的な行為や業務逸脱行為がない場合、または施設や管理上の欠陥があった場合に給付されます。

就業中であっても、労働者が故意に災害を発生させた場合や、個人的な恨みなどにより第三者に暴行等を受けた場合、業務中に業務とは全く関係のない行為を行なっていた時などの災害による怪我などは労災と認められません。

通勤災害の補償

通勤災害は就業場所と家の往復などの移動中に被った怪我などを言います。認可されるのは「就業と関連性があるもの」「合理的な経路及び方法」上であり、業務の性質を除くものとされます。合理的な経路とは、一般的に使う経路と認められた経路のことを言います。

業務に関係のない移動、経路から逸脱したり、中断したりしたその間の移動は労災と認められません。

ただし、厚労省が定めるやむを得ないことで、最小限であることは「通勤中」としてカウントされ、労災が認められます。

現場監督 一人親方労災保険のまとめ

現場監督という職種であっても、多少でも実際に建設作業をやる方は一人親方労災保険に加入できます。

現場監督というだけで門前ばらいにしたりは致しません。
加入希望者の個別の事情をよくお聞きして加入可能と判断できましたら加入して戴きます。また事故時は実態に則して労災保険が適用可能かどうか判断させて戴いております。