一人親方の今後は、どうなる?インボイス制度の影響と偽装一人親方問題!
建設業界では、特定の企業に所属せず「一人親方」として働いている方も大勢います。
一人親方は個人事業主(いわゆるフリーランス)で、企業に所属せず自由な働き方ができるのが魅力です。
一方で、
「一人親方という制度が廃止されるのではないか」、
「不便な制度になるのではないか」
といった噂が広がっています。
実際に一人親方をされている方の中には、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
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このような一人親方の今後が問題となる背景には、「インボイス制度」や「偽装一人親方問題」があると言われています。
インボイス制度とは!
インボイス制度とは、わかりやすく言えば、請求書の発行・受領の方法と、消費税納税の仕組みをこれまでと変更する制度です。
今まで請求書を発行する際には、商習慣としてある程度の型はあるものの、必要事項さえ記載されていればフォーマットなどはある程度自由に発行することができていました。
しかし、インボイス制度が導入されると、インボイス制度に登録する事業者は、請求書を発行する際に新しく決められたフォーマットに従って請求書を発行しなければなりません。
ちなみに、その新しく決められたフォーマットに則って発行される請求書のことを、インボイス(適格請求書)と呼びます。
インボイスには、これまでの請求書で必要だった項目にプラスして、「登録番号」「適用税率」「消費税額等」を記載しなければなりません。
インボイス制度が導入されると、インボイスの形式で請求書を受け取らなければ、個人事業主が発行した請求書を受け取る側の事業者は、仕入税額控除が適用できなくなってしまいます。仕入税額控除ができなくなるということはつまり、節税ができなくなるということです。
逆に、インボイス制度に登録すれば仕入税額控除ができるということになります。
個人事業主に仕事を発注する多くの事業者は、インボイスを発行してくれる個人事業主と仕事をしたいと思うでしょう。そうしなければ、節税できず、損をしてしまうためです。
「それなら、インボイス制度に登録しなければ」と思う個人事業主の方も多いことでしょう。しかしここで気をつけなければならない点があります。
それは、インボイス制度に登録する個人事業主は、売上が1,000万円以下であっても、消費税10%を納税しなければならないことです。
これまでであれば、売上1,000万円以下の方々は消費税10%を納税する必要はありませんでした。
顧客に消費税10%分の売上を請求できても、その後に納める必要はなかったために、その10%分は「益税」と呼ばれていました。
売上が1,000万円以下の事業者でも、税務署に登録申請をすれば課税事業者となり、適格請求書発行事業者として登録することが可能です。ただし、課税事業者になれば、もちろん消費税を納付しなければなりません。
つまり、インボイス制度というのは事実上、一人親方に対して「売上に関係なく消費税を納税するか、インボイスを発行できない事業者として活動するか」の二択を迫っているのです。次の項目では、これが具体的にどのような影響をもたらすのかを見ていきましょう。
インボイス制度に対する一人親方の「2つの選択肢」
インボイス制度が始まると、次の2つの選択を迫られることになります。
- インボイス制度に登録して、顧客事業者にインボイスを提出し、顧客が節税できるようになる。その代わりに消費税10%分も納税する。
- インボイス制度には登録しないけれども、売上1,000万円以下であれば、消費税も納税しない。この場合、インボイス制度に登録しないため、請求書は今まで通りのものを発行し、発注事業者に渡すことになります。
インボイス制度が一人親方に及ぼす影響
免税事業者のままでいる場合
インボイス制度の導入後も免税事業者のままでいる場合は、以下のような影響が考えられます。
・仕事が減る可能性がある
免税事業者のままでは適格請求書発行事業者になれず、元請けに対してインボイスを発行できません。つまり、元請けは仕入税額控除を受けられず、仕入れ(一人親方への発注)にかかった消費税分を納税しなければならなくなります。
こうなると元請けは損をするだけなので、免税事業者との取引を避け、インボイスを発行できる課税事業者に優先して仕事を発注するようになるでしょう。その結果、免税事業者は仕事が減ってしまう可能性があります。
・取引額を値引きされる可能性がある
免税事業者のままでいた場合、元請けは仕事を減らすのではなく、代金から消費税分の値引きを要求してくる可能性があります。消費税を肩代わりするように言われているのと同じです。これを受け入れると、単純に消費税分の収入が減ってしまいます。
もちろん、一方的に値引きをするのは、独占禁止法や下請法に違反する行為です。そのため、交渉もなしに値引きをされてしまうわけではないのですが、値引きに応じなければ仕事の量を減らされてしまう可能性が否定できません。
課税事業者になる場合
インボイス制度に対応するために課税事業者になった場合は、以下のような影響が考えられます。
・売上1000万円以下の一人親方でも消費税を納付、収入が減る
売上1,000万円以下の一人親方がインボイス制度に登録することで、本来は免税事業者だったにもかかわらず、課税事業者に移行することになります。
つまり、今まで免除されていた消費税を納付しなければならなくなります。
一部の経過措置はありますが、納税金額が上がることは、売上が1,000万円以下の個人事業主にとっては、大きなデメリットです。
課税事業者になった場合は、当然ながら消費税を納める必要があるため、以前と同じ売上では消費税分の収入が減少してしまいます。現在の消費税は10%ですから、年間の売上が1,000万円の人なら、単純計算で90万円程度も納税額が増えてしまう(収入が減ってしまう)計算です。
・事務作業の負担の増大する、経理業務が煩雑になる
課税事業者になると、消費税を正確に納付するために、いろいろな事務作業を行う必要があります。たとえば、領収書の保存や記帳作業、税額計算などです。こういった事務作業の負担は馬鹿にならず、特に税額計算は手間がかかります。
しかも、事務作業に時間を取られていると、その分仕事ができなくなるため、結果として収入減少につながる可能性もあります。一人親方であれば、これまでも経理などの事務作業は自分で行ってきたはずですが、新しい作業が増えるのは想像以上に面倒なので注意が必要です。
偽装一人親方問題とは
偽装一人親方問題とは、働き方の実態としては雇用契約における従業員と変わりがないのに、請負の形態で契約締結されている「偽装請負」の状態にある一人親方のことをいいます。
一人親方を偽装する理由
社会保険料の節約
建設業では人手不足が問題となっており、少子高齢化などの影響によって、この問題はさらに深刻になっていくことが予想されています。
そこで国土交通省は、建設業の労働環境改善による人材確保のため、2012年から社会保険加入対策を推進しているのです。
偽装一人親方問題のもっとも大きな原因は、社会保険料の支払いです。
前述のように、雇用契約の場合には雇用主が従業員の社会保険料の半分、もしくはそれ以上を負担しなければなりません。さらに、雇用保険料や児童手当拠出金も支払わなければなりません。
従業員を一人雇用するのは、会社にとって大きな出費を意味するのです。
従業員が多くなれば、支払わなければならない社会保険料や雇用保険料も増えるため、会社側の負担は大きくなります。とくに経営が不安定な中小企業の場合、少しでも社会保険料の負担を減らしたいと考えることもあるでしょう。
2020年には、建設業の社会保険加入が建設業許可・更新の要件として位置づけられるなど、社会保険加入対策はさらに強化されています。
しかし、社会保険に加入した場合、社会保険料などの法定福利費を企業が負担しなければいけません。この法定福利費などの経費を削減するために、労働者の偽装一人親方化が進むことが懸念されています。
技能と責任を持った現場作業員が一人親方として請負契約を結び現場で働くこと自体は、とくに問題ではありません。しかし、指示を出したり命令したりするなど、実際には労働者と同じように扱う偽装一人親方が増える恐れがあります。
労働関係法令が適用されない
労働者の多様な働き方のため、働き方改革関連法案が成立しました。
2019年から順次、働き方改革として、労働基準法をはじめとする関連法令の改正が施行されています。
働き方改革では「残業時間の上限規制」や「有給休暇の取得義務」など、さまざまな見直しがおこなわれており、建設業にも大きく影響します。
偽装一人親方が増加した背景には、労働者を守る労働関係法令が適用されません。一人親方は請負契約となるので、労働基準法の適用外です。
雇用契約を結んでいる従業員の場合、残業代を支払わなければなりませんが、請負契約の一人親方は成果物に対して報酬が発生するので残業代の支払いは必要ありません。
休日に仕事をしても休日手当は必要なく、有給休暇も取らせずにすみます。
会社が労働基準法などの法令を遵守する必要がなくなるため、偽装一人親方は非常に都合のよい形態といえるのです。
特別加入の申請手続
中小事業主↗
労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。
一人親方 ↗
特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)
お問い合わせ・お申込み
- ※元請工事のない事業所のみとさせていただきます。元請工事がある事業所はお受けすることができません。
- ※雇用保険関係の手続きは原則行っていません。ご相談ください。
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- ※会費を安くしていますので、一括払いのみとさせていただきます。