一人親方の安全書類(グリーンファイル)とは?

建設現場では安全な環境を整えるために、様々な工夫が施されています。その中のひとつが、グリーンファイルと呼ばれる「安全書類」です。工事体制や工事内容、作業員に関する申告は、適切な環境下で工事が行われているか確認する材料になります。しかしこの安全書類は数多く存在するので、「どんなものがあるかイマイチわからない…。」という方も多いのではないでしょうか。

一人親方は雇用保険に入れませんが、安全書類(グリーンファイル)の再下請負通知書や作業員名簿などには雇用保険の記載欄があります。

このページでは一人親方の雇用保険欄の書き方などを含め、一人親方が作成しなければならない書類について説明しています。

安全書類とは

安全書類とは、現場の環境や作業の安全を守るために必要な書類の総称です。「労務安全書類」や「グリーンファイル」とも呼ばれており、主要な書類だけでも20種類以上あります。

工事の体制や作業員、作業内容の把握を目的として、作業の規模に関わらず提出しなければいけません。安全書類には、事故を未然に防ぎ作業員の命を守る役割があります。また、安全書類は管理者と作業員の関係性を明確にするためのものです。

万が一事故が起こった際の「責任の所在」を明らかにでき、作業員の安全や権利を守ることにも繋がるでしょう。

安全書類の種類

安全書類は、主要なものだけで20種類以上が存在します。また、提出期限は書類ごとに異なります。
さらに、全体を管理するゼネコンによって必要な書類は異なるので、着工前に必ず確認しましょう。以下では「安全書類の種類」について、より詳しく解説します。

一人親方が提出すべき安全書類 主要5種類

ゼネコンの管理体制によって、提出すべき安全書類が異なります。
以下3種類は、提出を求められることが多い書類です。施工管理者や建設事務の方は、把握しておきましょう。

作業内容に関わらず、一人親方が提出すべき安全書類は上記3つです。安全書類の種類によって、記載しなければいけないことが違います。それぞれの書類の意味を理解して作成しましょう。

それぞれの書類について、目的や位置づけを詳しく見ていきます。

再下請負通知書

再下請負通知書とは、一次下請以下の下請契約を元請に報告するための書類です。

ほとんどの工事は、一人親方を含めさまざまな会社が協力して施工しています。工事の規模が大きくなるほど一次、二次、三次と下請業者が増えていくでしょう。これらの下請契約が増えると、元請が全ての下請を把握することが困難です。

そこで作成するのが、再下請負通知書です。再下請負通知書を作成することで、元請が現場に出入りする下請を把握でき、工事が安全・適切に行われているかを確認することができます。

契約書または約款付き注文書・請書

一人親方の場合、口頭で工事を頼まれることも多いかもしれません。口頭だけの契約では、元請や別の下請とのトラブルが発生する可能性があります。

金入りの契約書や約款付きの注文書、注文請書の提出が必要です。

※公共工事に関しては金額が入った(金額のところを塗りつぶし(黒塗り)てはダメ)注文書、請書が必要です。

契約書を交わすことは、建設業法においても義務付けられています。工事を請け負う際は、必ず「契約書」または「約款付き注文書・請書」を作成しましょう。

一人親方労災保険特別加入証明書

一人親方で工事を請け負う際は、一人親方用の労災保険に加入している必要があります。

それを証明するために以下のような加入証明書のコピーの提出が必要です。

一人親方の特別労災の金額は給付基礎日額によって異なります。

給付基礎日額は3,500円から25,000円まであり、基本的には自分で決めることができますが、高額になると所得を証明するための書類の提出が必要になります。

建設業退職金共済証紙交付辞退届

建退共の辞退届という正式な書類はありません。あくまでも参考書類としてご紹介するものです。

建設業退職金共済制度を利用しない場合は、辞退届の提出が必要です。

※建設業退職金共済制度を使う場合は提出不要です。
※建退共辞退届の提出が許されるかは各自治体や担当者により異なる場合があります。

作業員名簿

作業員名簿は、作業員の氏名や住所などの個人情報を記入する書類です。元請が作業員の個人情報と、雇用状況を把握するために必要になります。
また、作業員の資格有無の確認を行う役割もあります。たとえば、現場で溶接を担当する溶接工や電気工事を担当する電気工は、資格証の提出が必須です。この書類は、一次下請以下の協力会社が作成するものなので、契約関係に応じて作成しましょう。

下請ごとに何人の作業員がいて工事現場全体の作業員が何人か、下請が多いほど元請は把握できません。そのため作業員名簿を作成・提出して、どれくらいの人数が工事現場で作業するかを元請に報告する必要があります。

一人親方の場合、基本的に作業員は自分1人だけなので自分だけ記載して提出します。ただし、一時的に雇用している場合はその従業員も忘れずに記載しましょう。

作業員名簿は、建設業法によって作成が義務付けられています。

一人親方が場合によって提出すべき安全書類

建設業許可証および主任技術者証明書

請負金額が500万円以上の工事は、建設業許可証を取得していなければ請け負うことができません。そのため、請負金額が500万円以上の工事を請け負う場合は、建設業許可証を取得して提出する必要があります。

また、建設業許可証を取得している場合は主任技術者を設置する必要があるため、主任技術者証明書も合わせて提出しなければいけません。

新規入場者調査票

新規入場者調査票とは、氏名や生年月日、血液型、住所、緊急時の連絡先などの作業員情報をまとめた書類です。その名の通り、初めての現場で作業する際に作成・提出しなければいけません。

安全衛生管理を目的とした書類であり、万が一事故が起こった際に作業員の情報を取得するための重要な書類です。

工事安全衛生書

工事安全衛生書は、工事を安全に進めるため「どのような行動や心がけをしていくか」を証明する書類です。工事期間や工程を記載し、その期間内に「どのようなリスクの発生が予測されるか」をまとめます。このリスクに対し「体制」と「段取り」を工事責任者が検討し、すべての作業員に周知させるための書類なのです。
起こりうる危険をすべて把握し、どのような措置をとるか一人で予測するのは難しいと言えますので、この書類を基に関係者でミーティングを行うことで、解像度の高い安全検討が行えます。

新規入場時等教育実施報告書

新規入場時等教育実施報告書は、下請業者の作業員が安全衛生教育を受けた後に現場に入場することを元請に報告するための書類です。
現場では毎日、様々な作業員が出入りします。その作業員1人ひとりに現場ルールを伝え、了承してもらわなければなりません。つまり、この書類は「現場ルールを理解しました」という意思表示の証になります。書類の中にある「受講者氏名」は、作業員の直筆サインをもらいましょう。

安全ミーティング報告書

安全ミーティング報告書は、現場で起こりうる危険な作業を洗い出し、その対策をまとめた書類です。
この安全ミーティング報告書を作成することで、万が一事故が起きてしまった際に、現場の安全管理を証明する材料になります。「細かな部分まで、いかに目を光らせることが出来るか」が管理者としての腕の見せどころになります。
なお、この安全ミーティング報告書は危険予知(KY)活動と言われることもありますので、セットで覚えておくとよいでしょう。

持込機械等(移動式クレーン/車両建設機械等)使用届

持込機械等(移動式クレーン/車両建設機械等)使用届は、重機やクレーン車といった現場で使用する建設機械を管理するための書類です。
その際、該当する車両を運転する運転者の名前と必要な免許・資格を記入が必要になります。合わせて資格証のコピーも入手しておきましょう。

持込機械等(電気工具・電気溶接機)使用届

持込機械等(電気工具・電気溶接機)使用届は、作業で使用する機械の安全性を管理するための書類です。
この書類は、使用する機械が定期的にチェックされていることを宣言するものになります。この書類の提出がない場合、機械の持ち込みは原則できませんので、必要に応じて忘れずに申請しましょう。

工事・通勤用車両届

工事・通勤用車両届は、工事現場に入場する工事車両をまとめた書類です。複数の業者が混在する現場では、この申請を基に搬出入の時間が割り振られます。
また、通勤車の申請も必要なケースがあるので、工事現場ごとに書類をチェックしましょう。

有機溶剤・特定化学物質等持込使用届

有機溶剤・特定化学物質等持込使用届は、危険物や有害物を使用する際に申請する書類です。
使用日時や使用材料を申請し、元請に作業許可をもらう必要があります。工事条件で作業時間が決められている場合が多いので、事前に確認しておきましょう。

火気使用届

火気使用届は、現場で火気作業が発生する際に申請する書類です。
火気作業は事故を引き起こす危険があるため、元請に周知しなければなりません。作業日時や作業内容を申請し、元請に許可をもらう必要があることを念頭に入れておきましょう。