建設業の一人親方制度は廃止?一人親方がいなくなるの?
建設業などでは会社に雇用されず、労働者を雇わず、自分自身や家族とだけ事業を行なう一人親方が多く活躍しています。なぜなら一人親方として働くことでさまざまなメリットが得られるからです。
一方で、企業から偽装請負のような形で社会保険未加入問題、長時間労働問題など、問題が起こりやすいという一面もあります。
一人親方は個人事業主であるため、将来性がどうしても不安定になりがちなのも特徴の一つです。
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一人親方とは
一人親方(ひとりおやかた)とは、建設業などで労働者を雇用せずに自分自身と家族などだけで事業を行う事業主のことを言います。
もともとは職人をまとめて仕事ができる能力をもっているという職階を指していました。しかし最近では労務管理上の問題とし て取り上げられることが多くなっています。
一人親方の成り立ち
建設業の例でいえば、職人には4つの職階がある(見習い・職人・一人親方・親方)見習いとして職人への道へ足を踏み入 れたのち、技術を習得し職人となります。
職人の4職階
見習い ⇒ 職人 ⇒ 一人親方 ⇒ 親方
その職人が独立し、職人を雇入れ、企業としての体裁を構えている段階が親方で、単に技術に習熟しているだけでなく、会社を経営し、工事を差配するといったマネジメント業務をこなすことが求められます。
一人親方は、親方のひとつ手前の段階と言われています。
職人として一人前になったのち、親方の元から独立した段階が一人親方と言えると思います。
大工職の場合、一人親方になるまでには10年かかるといわれます。 一人親方は職人として雇われる場合もあるし、あるいは、職人グループを率いて工事を差配できるとみなされているので、必要な時だけ職人を雇ってまとまった工事を請け負う場合もあります。
例えば木造の住宅建築を例に挙げると、木工事のほかに、土木工事、左官工事、外構工事など、それぞれ専門的な技能が要求されるさまざまな工事が建 設工事全体をなしています。
一人親方自身から見た場合、従業員として雇用されるより一人親方を選ぶ典型的な理由は「自由に仕事がしたい」「収入を 増やすため」です。
自身が事業主であるから、
- ある仕事の依頼が来てもそれを受けるか受けないか決められる
- どのように達成するかは自分で決められる
- 契約金額は全て自分の収入になる
ということを典型的には意味しています。
ただし、最近の傾向として「人が雇えない」「どこも雇ってくれない」という理由で、やむなく一人親方になる場合も増えているようです。 これは従来の一人親方のとは違った性格の一人親方が増えていることになります。 また、一人親方に高齢者の割合が増えているのも最近の傾向です。
一人親方の労災保険特別加入制度
昭和 36 年には検討が始められ、その検討結果をまって、昭和 40 年 6 月 11 日には労働者災害補償保険法の一部改正が行われ、現在に至っています。
本来、労災保険は事業所の従業員など、“労働者”の業務災害や通勤災害に対して補償をおこなうことを目的とした制度です。 そのため、ご自身が事業主にあたる“一人親方”は保険加入の対象に含まれません。
しかしながら、建設業などの一人親方は業務の実態や災害発生状況が限りなく労働者に近いため、 国は労働者ではない一人親方に対しても特別に労災保険の加入を認めています。
その制度を『一人親方労災保険特別加入制度(一人親方労災保険)』といいます。
なお、一人親方労災保険は労働局より承認を得た『一人親方労災保険特別加入団体』を通じて加入することにより、労働者と同じ補償を受けることができます。
一人親方の問題点
様々な問題点がある中、特に問題視されているのは、技能者自身に一人親方として働いている認識がない場合(特に10代・20代前半で一人親方とされている若年層)であり、次のような問題が起こる恐れがあります。
不適切な就労(偽装請負)になる可能性
一人親方は個人事業主です。そのため、元請会社とは、請負契約によって独立して業務を行います。
しかし、契約内容が請負契約でも、実態は労働者と同じ場合が多く見受けられます。いわゆる「偽装請負」「偽装一人親方」となり、違法就労というふうにみなされてしまいます。
「偽装請負」とは、実質的に「労働者派遣」又は「労働者供給」であるのにもかかわらず、「請負契約(“仕事の完成”が契約内容となっている契約)」や「業務委託契約(何らかの業務を委託する契約)」に偽装する行為のことです。
偽装請負は、労働者派遣法及び職業安定法によって禁止されています。
偽装請負は法律で禁止されているので、違反すると建設業許可が取消される可能性もあります。一人親方の方は、自分の働き方が偽装請負にならないように注意しなくてはなりません。
建設業許可がない一人親方との下請け契約
建設業許可を受けていない一人親方は、請負金額が税込み500万円未満の軽微な工事しか請け負うことが出来ません。
(建築一式工事については、1500万円未満または150㎡未満の木造住宅工事)
一定額以上の工事を一人親方に依頼する場合には、一人親方側に建設業許可が必要です。
元請から材料の提供があった場合には、その費用も合算して判断するため、要件を満たしているか慎重に判断する必要があります。
また、無許可の一人親方と下請け契約を結ぶことは建設業法違反(法28条1項6)となり、不正行為を行った企業は指示処分や営業停止を命じられるケースもあります。
一人親方に一定額以上の仕事を依頼する場合は、建設業許可を取得していることが必要になります。。
労災への未加入、そして損害賠償請求の可能性
企業が従業員を雇用している場合は、企業が労働者に対して労働保険の加入・保険料の支払い義務があります。
一人親方として働いている場合は、労災保険の加入は任意です。
そのため、労災保険に特別加入していなければ、万が一労災事故が起きた際に労災保険の補償を受けられない危険性があります。
雇用関係のない請負契約と判断される場合であっても、実質的に元請け事業者が使用者、一人親方が労働者となる場合は労働者性が認められ、労災の責任や労災保険の加入責任が元請けにおよぶケースもあります。
多額の損害賠償が発生することもあるため、企業側のリスクを把握しておくことも重要です。
従業員やその家族の生活を保護するため、そして企業側への責任追及のリスクを回避するためにも、事業主が一人親方に対して適切な労働保険への加入手続きを進める必要があります。
社会保険への未加入
偽装一人親方問題のもっとも大きな原因は、社会保険料の支払いです。
雇用契約の場合には雇用主が従業員の社会保険料の半分、もしくはそれ以上を負担しなければなりません。さらに、雇用保険料や児童手当拠出金も支払わなければなりません。
従業員を一人雇用するのは、会社にとって大きな出費を意味するのです。
従業員が多くなれば、支払わなければならない社会保険料や雇用保険料も増えるため、会社側の負担は大きくなります。とくに経営が不安定な中小企業の場合、少しでも社会保険料の負担を減らしたいと考えることもあるでしょう。
そこで、社会保険料や雇用保険料などの支払いが必要ない請負契約の一人親方に見せかけてしまうことがあるようです。
労働法令が適用されい
偽装一人親方が増加した背景には、労働者を守る労働関係法令が適用されないこともあります。一人親方は請負契約となるので、労働基準法の適用外です。
雇用契約を結んでいる従業員の場合、残業代を支払わなければなりませんが、請負契約の一人親方は成果物に対して報酬が発生するので残業代の支払いは必要ありません。
休日に仕事をしても休日手当は必要なく、有給休暇も取らせずにすみます。
会社が労働基準法などの法令を遵守する必要がなくなるため、偽装一人親方は非常に都合のよい形態といえるのです。
請負契約と言うのはある意味において依頼した仕事に対して報酬を支払う以上のことをする必要がありません。
以前までは非正規雇用の方でも現場に入れるぐらい規制がゆるかった建設業界も、さまざまな問題によってだんだんと規制が厳しくなってきています。大きな規模の現場になると、労災の加入状況をチェックされ、加入していない場合には現場に入ることを拒否される場合もあります。
一人親方の存続が危ぶまれる理由とは
インボイス制度の導入
2023年10月1日導入のインボイス制度は、これまで一人親方や大工として働いてきた事業者にとっても大きな制度変更となりました。インボイス制度によって、年間売上1,000万円以下の一人親方にも消費税の納税義務や、仕事が減少するといった影響が考えられます。
しかし、インボイス制度が導入された後は、仕入税額控除の適用を受けるために、インボイス(適格請求書)の発行が必須条件となります。
インボイスは課税事業者で、かつ適格請求書発行事業者の承認を受けている事業者しか発行できないため、免税事業者(年収1,000万円以下)として活動している一人親方と取引した場合、仕入税額控除は適用されません。
買い手である一人親方は、取引相手から交付されたインボイスという書類を保管しておくことで、仕入れ税額控除の適用を受けることができます。これをしないと消費税が免除される1,000万円以下の事業者でも、10%の消費税を払う必要が出てくるので、実質的には売上が10%減ることになります。
そのため、現在免税事業者で、インボイス制度導入後もそのまま活動していく予定の一人親方は、仕事量が減少してしまう可能性があります。
インボイス制度導入後の仕事減少リスクを予防したい場合は、課税事業者になり、適格請求書発行事業者として承認される必要があります。
しかし、課税事業者になると消費税の支払い義務が生じるため、免税事業者として活動していた時よりも納税の負担が大きくなります。
一人親方の高齢化
慢性的な人手不足や長時間労働など、解決していかなければならないさまざまな課題がある建設業です。そこに輪をかけるように、日本が直面している超高齢社会の影響も2025年に顕在化するとされています。
日本では少子高齢化が進んでおり、15歳〜65歳の生産年齢人口が1995年をピークに減少し続けているのは周知の事実です。
2025年には、約800万人の団塊の世代が75歳以上になり、全ての地域で2010年に比べて人口が減少するとされています。
日本のインフラや民間建築物は、老朽化はもちろん地震などの災害によるダメージも蓄積し、維持修繕工事が年々増加することが見込まれています。そして、2025年には建設業でもベテラン層の大量退職による人手不足が発生すると予測されています。
技術革新
現場での作業がいきなりロボットなどに取って代わることはないかもしれませんが、現在は人手不足な建設業界も今後、人手があまるということは考えられます。
プレハブ工法とは、あらかじめ工場で生産された屋根、壁、床などの部材を現場で組み立てる方法のことで、すでに一部の工務店が採用しています。 ユニット工法はプレハブ工法の一種で、より一貫して工業化を目指したものです。 工場で部屋単位に分けたユニットを作っておき、それを現場に運んで建物として組み立てます。
今後は一軒家でも作業のほとんどを工場と現場で機械が組み立てできるようになるかもしれません。
一人親方が今後生き残っていくためには?
ここまでは一人親方が置かれている現在の状況について解説してきました。技術の革新や法律の改正、さらに資材の高騰により一人親方は厳しい状況に立たされています。特に2023年施行のインボイス制度は売上1000万円に満たない規模の一人親方を苦しめる法律になると予想されています。今までのやり方では一人親方が今後存続していくのは難しいでしょう。
建設業許可を取得する
仕事の範囲を広げるために、建設業許可を取得しましょう。建設業許可がないと、500万円未満の軽微な工事しか受注できません。この金額には材料費も含むためかなり範囲は限定されます。建設業許可を取得すれば、請け負える1件当たりの工事金額は3,500万円までになります。しかし、建設業許可を取得すれば社会保険に加入しなければなりません。社会保険に加入し建設業許可を取得することで、社会的な信頼も得られ事業の安定にも繋がるでしょう。
一人親方労災保険への加入
労災保険は義務ではありませんが、加入しておくことをおすすめします。労災保険は本来被扶養者に対しての制度なので、個人事業主である一人親方は対象ではありません。しかし「一人親方特別加入制度」を用いれば、一人親方も労災保険に加入できます。業務上の事故や怪我の際の治療費が支払われるだけではなく、怪我による休業が1年以上に及んだ際の傷病(補償)年金や、身体的な障害が残った際傷害補償給付や死亡時の遺族補償を受けられるようになります。
確定申告
年度末に確定申告をして1年間の所得を税務署に報告します。確定申告をしないと所得の証明ができないため、銀行から融資を受けられないなどの不利益が生じます。確定申告には白色と青色の2種類が存在します。簡易なのは白色確定申告ですが、青色申告は事務処理の負担は増えますが青色申告特別控除や赤字の3年間繰り越しなどの待遇が受けられます。工事台帳、請求書などの売上金額が分かる書類と、領収書など支出の分かる書類、各種控除の証明書類が必要になるので、日常からまとめておきましょう。
社会保険への加入
下請け指導ガイドラインで「社会保険未加入者は特別な場合を除き現場入場を認めない」と明記されているため、一人親方も社会保険への加入は必然の時代となってきました。先述したように、元請けの指示に従い決められた単価の元で働くのなら元請け企業の社会保険へ加入する必要がありますが、請負金額をして出来高制ならば自身で社会保険へ加入しなければなりません。市町村の国保もしくは国保組合、国民年金には必ず加入しておきましょう。
適切な請負契約をする
成果報酬の請負契約でなく、時間単価報酬の雇用と変わらない内容の偽装請負契約をすることは法律で禁止されています。労働者派遣法、職業安定法、労働基準法に違反していると判断されれば、請負元に罰金刑が科せられます。
ご自身の身を守るためにも、業務内容を明確にして、公正で適切な請負契約をしましょう。請負元からの指示を拒否する権利があるか、勤務時間によって拘束されないか、時間単価報酬ではなく成果報酬であるかなどの確認が大切です。
中小建設業事業主の特別加入制度 3つの特徴!

業界最安水準
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社労士賠償責任保険加入済
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特別加入の申請手続
中小事業主↗
労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。
一人親方 ↗
特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)
お問い合わせ・お申込み
- ※元請工事のない事業所のみとさせていただきます。元請工事がある事業所はお受けすることができません。
- ※雇用保険関係の手続きは原則行っていません。ご相談ください。
- ※社会保険労務士報酬は、いただきません。
- ※会費を安くしていますので、一括払いのみとさせていただきます。