建設業の役員も労災保険に加入できる「中小事業主特別加入」

労災保険は役員にも適用されるのかどうか、気になっていることでしょう。

会社の経営者・役員は労働者ではないため、労災保険の給付を受けられないことをご存知でしょうか。

 結論からいえば、役員は原則として労災保険の対象外です。ただし、実際は実態に応じて判断され、一定の要件を満たせば労災保険に加入できる特別加入制度もあります。

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現在では「役員」といっても「執行役員」や「使用人兼務役員」など役員と一言でいってもさまざまな役職があるため、労災保険の適用可否の判断が難しくなっています。

しかし、会社役員の肩書きはあるものの、実際には現場で働く役員も少なくありません。このように、会社の役員をしているが実際の現場で仕事に携わっている人への万が一の補償に備えて労災保険に加入できる制度が「中小事業主特別加入制度(労災保険特別加入)」です。

取締役等役員の皆さんは労災保険の対象外

労災保険は、労働者が業務・通勤中にケガや病気、障害などを受けた場合に給付が受けられる制度です。あくまでも被保険者は労働者(「事業に使用される者(使用人)」で「賃金を支払われる者」)ですので、役員は原則として労災保険の対象外となります。

労災保険法は、この労働基準法の災害補償の規定を担保するための法律であり、同じ昭和22年に労働基準法とともに制定されました。労働基準法は、役員や家族を労働者としていません。そのため労災保険も役員や家族は、保険給付の対象外としています。

形態一般の労働者パート・アルバイト日雇い労働者派遣社員海外出張者海外派遣者事業主・法人の役員同居親族
加入の有無〇※1△※2×※3×※4

※1:派遣元の事業場で適用される。
※2:特別加入することにより可能
※3:代表権・業務執行権を有する役員(いわゆる経営者)は適用外
※4:同居の親族とともに一般労働者を雇用し、所定の条件を満たした場合は適用される場合がある。

労災保険特別加入制度とは

「労災保険特別加入制度」とは、「労災保険」の加入の対象にならない人が特別に加入できる制度です。「労災保険」は、勤務中や通勤中に起きた出来事に起因したケガや病気、障害、死亡した場合に保険給付が行われる制度で、労働者やその遺族の生活を守るための大事な制度です。

労災保険の特別加入とは、労働者以外でも労災保険への加入を特別に認める制度です。

「労災保険」の対象者は「労働者」です。ただし、労働者以外の人の中でも、業務の実情などから「労働者に準じて労災保険で保護する必要があると認められている人」に対しては特別に労災保険に加入することができます。

労働者ではないものの労働者と同じように労災保険の対象とすることが妥当であると判断された者が、申請手続きを行うことで労災保険に特別加入することができます。

中小事業主や一人親方、特定作業従事者、海外派遣者、定められた事業を行う個人事業主が労災保険に特別加入することが認められています。

役員は中小事業主とともに労災保険に特別加入することになります。

これを「労災保険特別加入制度」と言います。「労災保険特別加入制度」には、次の4種類があります。

  • ①中小事業主特別加入 (第1種特別加入)
  • ②一人親方特別加入(第2種特別加入)
  • ③特定作業従事者特別加入(第2種特別加入)
  • ④海外派遣者特別加入(第3種特別加入)

中小事業主特別加入制度のメリット

「中小事業主特別加入制度」には様々なメリットがあります。

・「社長・役員・家族従事者」にも労災保険が適用される

これは、「中小事業主特別加入制度」のメインとなるメリットです。通常は労災保険に加入できない人が「特別」に加入できます。「労災保険」は、政府が運営している制度なので安心で充実した補償が受けられます。

・勤務中の事故による治療費は自己負担なし

労災保険の補償内容は、手厚く設定されています。勤務中の事故に起因する治療の場合は、自己負担なしで治療が受けられます。例えば、社長が勤務中の事故により治療が必要な場合、通常は治療費の全額を自己負担する必要があります。

なぜなら、勤務中の事故(労働災害)には健康保険を利用することができないからです。しかし、「中小事業主特別加入制度」に加入した場合は、治療費の自己負担がありません。

・労働保険事務の負担が軽減される

「中小事業主特別加入制度」の加入条件の1つに「労働保険の事務処理を労働保険事務組合に加入していること」があります。そのため、労働保険事務については労働保険事務組合(または社労士)が代行して行うため、自社で煩雑な労働保険事務を行う必要はありません。

労働保険事務組合の多くは、各地にある商工会議所や青色申告会などが主催し運営している組合と、社労士事務所に併設して運営している組合があります。どちらも「中小事業主特別加入制度」の加入要件を満たしますが、社労士事務所に併設して運営している組合は労務相談や就業規則作成、助成金の申請など、労務に付随したサービスを受けることができます。

・保険料を給付基礎日額により設定できる

「中小事業主特別加入制度」の保険料は、給付基礎日額と業種により異なります。「給付基礎日額」(労働基準法の平均賃金に相当する額)に応じて保険料を設定することができます。

特別加入のデメリット(問題点)

特別加入制度の趣旨は、労働者に準じて保護するにふさわしい者に対して労災保険を適用しようとするものです。

そして補償の対象は、あくまでも労働者の行う業務に準じた業務の範囲であり、特別加入者の行う全ての業務に対してではありません。しかしながら、加入希望者の多くは、全ての業務に対しての補償を期待するケースが多いと思われますが、注意が必要です。

取締役ではあるが業務執行権が無く、労働者として認められる可能性が高いにも関わらず、特別加入したばかりに補償の対象外になる場合があります。

代表権・業務執行権を有する者で、労災保険の補償を期待する場合は、特別加入以外に選択肢はありませんが、それ以外の取締役等は、労働者として認められる場合もありますので、加入に注意する必要があります。

中小事業主特別加入制度未加入のリスク

「中小事業主特別加入制度」未加入で社長・役員・家族従事者が労働者として勤務している場合には大変大きなリスクがあります。特に建設業の場合は、勤務中に大きな事故が起こる可能性があるため他の業種に比べてリスクが大きくなります。どのようなリスクがあるのか具体例を見ていきましょう。

・建設業で数次請負によって工事が行われている場合

数次請負による工事は、元請けが一括して労災保険に加入します。これは「労働基準法第87条」で元請け人が使用者とみなされるからです。

この工事に「中小事業主特別加入制度」未加入で社長・役員・家族従事者が工事に従事している際に、万が一事故が発生した場合は、社長・役員・家族従事者は「労働者」に該当せず、元請けからの労災保険の給付を受けることができません。

工事に従事する社長や役員の生活を守るため、元請けとの補償を巡るトラブルを防ぐためにも「中小事業主特別加入制度」の加入をおすすめします。

役員が労災特別加入制度へ加入する方法

役員が労災特別加入制度へ加入するには、「特例加入申請書(中小事業主等)」を労働基準監督署長を経由し、労働局長に提出します。この際、特例加入申請書は「労働保険事務組合」を通じて提出します。なお、そもそも労働保険事務を労働保険事務組合に委託していることが特別加入の要件です。

労働保険事務組合への委託の流れ

労働保険事務組合に労働保険事務を委託するには、「労働保険事務等委託書」を提出し、承認を得ます。

 また、労働保険事務組合に委託する際には各組合所定の料金(入会金や会費、事務手数料など)が発生しますので、可能な限り費用を抑えられる組合を選ぶことをおすすめします。

 労働保険事務組合に委託すると以下のメリットがありますので、特別加入を予定していなくても委託する検討の価値があるでしょう。

以下の業務に携わる場合は、労災特別加入制度への加入時に健康診断が必要になります。

  • 粉塵作業を行なう業務(加入前3年以上従事している場合)
  • 振動工具を使用する業務(加入前1年以上従事している場合)
  • 鉛業務(加入前6ヵ月以上従事している場合)
  • 有機溶剤業務に携わっている場合(加入前6ヵ月以上従事している場合

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特別加入の手続き

中小事業主↗

労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。
※労働保険事務組合は全国に9,224団体あります。(令和4年3月現在)

一人親方 ↗

特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)

お問い合わせ・お申込み

  • ※元請工事のない事業所のみとさせていただきます。元請工事がある事業所はお受けすることができません。
  • ※雇用保険関係の手続きは原則行っていません。ご相談ください。
  • ※社会保険労務士報酬は、いただきません。
  • ※会費を安くしていますので、一括払いのみとさせていただきます。