一人親方、中小事業主必見!建設業における特殊な労災保険事情を解説します。

建設現場で作業中にケガをしてしまい、「労災保険の手続きしていたかな?」「事業主も労災保険は使える?」と慌てたことはありませんか?建設業における労災保険は、一般の業種とは異なる点も多く、注意する必要があります。

建設業の労災保険は一般の労災保険と異なっており、建設工事ごとの加入となります。加入するのも直接の雇用主ではなく、建設工事の元請けが加入の手続きや保険料の支払いを行います。そのため、建設工事などの業務を行うのであれば、きちんとした労災保険についての知識も必要です。

目次

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建設業における特殊な労災保険事情とは?

労災保険は通常、事業主が雇用関係にある社員に対して、事故などの災害に遭ったときの補償として加入しています。しかし、建設業の場合は、業務形態などが特殊なため、通常の労災保険とは異なるルールが適用されているのです。

建設業の労災保険加入は原則元請け会社がすべて行う

建設業の労災保険は一般の労災保険とは異なり、労災保険の加入は原則として建設工事の元請け会社が行い、工事を請け負う下請けや孫請け会社の社員を含み、加入することになります。これは、労働基準法第87条によって、建設業の場合は「元請負人のみを使用者」としているからです。

賃金総額を算出しにくい建築業は労災保険料の計算方法が異なる

一般的な労災保険料は、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下、徴収法)」第11条において、「事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額に労災保険率を乗じて算定する」ことを原則としています。ですが、建設業の場合は工事単位で加入するため、賃金総額を算出しにくい事情があります。

そこで、徴収法施行規則第12条と13条により、「労務費率(工事の請負金額に占める賃金総額の割合)に請負金額を乗じて得た額を賃金総額とする」となっています。建築業における労災保険料は、「請負金額×労務費率×労災保険料率」で算出することが可能です。

建設業は事業ごとに保険料が徴収される有期事業


労災保険は複雑で、期間や請負額によって事業の種類が分けられています。まず、大きく「有期事業」と「継続事業」に分けられており、事業の終了時期が予定されていれば有期事業、終了時期が予定されていなければ継続事業となります。有期事業は事業の期間に応じて保険料が徴収され、継続事業は年ごとに保険料を徴収されます。建設業の場合は、工事(事業)の終了時期が決まっていますので、有期事業となります。

また、有期事業は、さらに「一括有期事業」と「単独有期事業」に分かれます。一括有期事業は、「労災保険料の概算見込額が160万円(または確定保険料100万円)未満で、かつ、請負金額が1億8千万円未満」の場合に該当します。この一括有期事業に該当しない場合は、単独有期事業となります。

建設業は保険料の申告・納付などが別になる二元適用事業

農林漁業や建設業等を除く多くの事業では、労災保険は雇用保険とセットで加入しており、これらの事業を一元適用事業といいます。一元適用事業では、労災保険と雇用保険で支払う保険料の申告・納付を同時に行います。

建設業では、雇用保険は事業主が通年で加入させますが、労災保険は工事ごとに元請け会社が加入させるため、二元適用事業に区分されるのです。二元適用事業は、事業の実態から労災保険と雇用保険を分けて適用する必要があるため、支払う保険料の申告・納付などが別になります。なお、建設業の社員でも建設工事に関わらない事務や営業などの職種は、一元適用事業となりますので注意しましょう。

建設業における労災保険の手続き

建設業界では、建設工事単位で労災保険に加入することになります。そのため、保険契約の手続きなどが、一般の労災保険と異なります。続いては、建設業界における労災保険の手続きの方法をご紹介しましょう。

工事開始から10日以内に保険関係成立届を提出

建設工事の場合、工事開始から10日以内に事業の種類、事業所所在地、事業所名称、事業主氏名、事業所電話番号、雇用保険被保険者数などを記載した、保険関係成立届を提出します。なお、この成立届が提出されていない場合でも、工事が始まった瞬間から自動的に労災保険への加入が成立したことになりますので、その期間に労災に遭った人がいれば補償されます。

ただし、元請けの事業主に対しては、本来労災保険に加入していなければならないところを加入していなかったため、「労災保険の費用徴収制度」が適用され、支給した労災保険給付額の全部または一部が徴収されることになります。例えば、行政機関からの指導等を受けていても手続きしない場合、「故意に手続きを行わないもの」として労災保険給付額の100%が徴収されます。また、指導等を受けなくても、工事開始から1年を経過していれば、「重大な過失により手続きを行わないもの」として労災保険給付額の40%が徴収されます。

労災保険関係成立票を見えるところに掲示

保険関係成立届を提出したら、労災保険関係成立票を見えるところに掲示します。これは、徴収法施行規則第77条で定められています。建設の事業では、法令により、「労災保険関係成立票」を工事現場の見やすい場所に掲げなければなりません。建設業に限定された定めで、一般の事業とは異なる点です。労働保険番号、保険関係成立年月日などの記載が必要です。労災保険関係成立票の記載内容としては、保険関係成立年月日、労働保険番号、事業の期間、事業主の住所氏名、注文者の氏名、事業主代理人の氏名です。

現場労災以外の保険は各企業で加入

建設現場で発生した労災には、原則的に元請企業の現場労災が適用されますが、営業職、事務員さんなどは建設現場では労働しないため、元請企業の現場労災は適用されません。

建設現場以外の労災は事務所労災(事務労災)と呼ばれています。事務所労災は元請・下請企業に関係なく、従事する労働者がいる場合は、それぞれの会社で成立手続き、保険料の申告・納付を行います。

社会保険・雇用保険も同様に、元請・下請企業に関係なく、それぞれの会社で加入しなければなりません。元請会社が関与するのは、あくまでも現場労災のみです。

建設業の労災保険が適用される人とは

労災保険の正式名称は「労働者災害補償保険」といいます。「労働者」を保護するための制度です。

元請企業、下請企業の従業員は適用される

正社員はもちろん、期間雇用やアルバイトも、労働者であれば雇用形態にかかわらず適用されます。元請・下請も関係なく、その現場にかかわる各事業所の労働者は、業務上、通勤途上の災害について給付が受けられます。

事業主、役員、一人親方は対象外

各企業の事業主や役員、家族従事者は「労働者」ではないため、原則として労災保険の対象外です。

一人親方などの個人事業主も、雇用されていないため原則として労災保険の対象外となります。

労災保険の特別加入制度

一人親方向けの労災保険特別加入制度がある

労災保険の加入は原則として建設工事の元請け会社がすべて行いますが、下請け会社の事業主や役員にはこの義務が適用されません。そのため、「一人親方」と呼ばれる事業主自身が直接労働しているケースは、労災保険に入ることができなくなります。

そこで、国は救済措置として、一人親方は実情として労働している社員に近い立ち位置と考え、特別に一人親方向けの「労災保険特別加入制度」により、労災保険への加入を認めています。

中小規模の建設業者などでは、事業主も従業員と一緒に現場に入り作業することが多く見られます。一人親方も、現場に入る以上ケガをするリスクは一般の労働者と同様です。

これら事業主(社長や役員など)や一人親方は、労働者ではないため労災の適用はされませんが、一定の要件のもと、労災保険に特別加入することができます。

中小事業主等の労災特別加入

中小事業主等とは、労働者を常時使用する事業主であり、労働者以外で事業に従事している人(役員、家族従事者など)です。中小事業主等が特別加入できる要件は、次の2つです。

雇用する労働者について、労災保険の保険関係が成立していること
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ただし、労災保険特別加入で補償されるのは、労働者と同様の業務を行っていた場合に限られ、事業主の立場での業務の遂行上の災害は対象外となります。建設現場での事故は対象となりますが、経営者として金融機関との面談を行う際の災害は対象にならない、というイメージです。

一人親方の特別加入

一人親方の特別加入ができるのは、常時労働者を使用しないで事業を行っている場合です。ただし労働者を使用することがあっても、年間100日間に満たない場合は、一人親方として特別加入することができます。

加入手続きは一人親方特別加入団体を通して行います。

未加入だとどうなる?

現場に入場できないケース

労災保険の特別加入は任意のため加入義務はありませんし、未加入でも罰則はありません。

しかし建設現場によってはガイドラインを設けており、特別加入をしていないと現場に入場できないケースもあるようです。現場に入場する一人親方全員に特別加入を元請業者が養成しているようなケースです。

遡って加入できない

社長や役員などが労働災害で負傷した場合、社会保険も適用されず全額負担となります。特別加入は事前申請のため、事故が起きてから遡って加入することができません。万が一に備え加入しておくことが望ましいでしょう。

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特別加入の手続き

中小事業主↗

労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。
※労働保険事務組合は全国に9,224団体あります。(令和4年3月現在)

一人親方 ↗

特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)

お問い合わせ・お申込み

  • ※元請工事のない事業所のみとさせていただきます。元請工事がある事業所はお受けすることができません。
  • ※雇用保険関係の手続きは原則行っていません。ご相談ください。
  • ※社会保険労務士報酬は、いただきません。
  • ※会費を安くしていますので、一括払いのみとさせていただきます。