経営が厳しい中で保険料の事業主負担がこれ以上増えたら経営が成り立たないのだが。

社会保険などは、暮らしの中の避けがたいリスクを社会全体で支えるための仕組みですので、保険の加入は法令上の義務となって います。大切な従業員のことを考えれば、加入は企業の責務であり、保険料の事業主負担分(法定福利費)は、企業としてどうしても 負担しなければならない経費です。
また、法律を守らない未加入企業が、法律をきちんと守って法定福利費を適正に負担している真面目な企業よりも競争上有利になるような市場環境は是正する必要がありますし、建設業に若年者が安心して入職できるようにするうえで、社会保険などの福利厚生を 整備して就労環境を改善することは、企業にとっても建設業の将来にとっても必要不可欠です。
たしかに、保険未加入対策の推進にともなって、未加入企業には加入や法定福利費の負担がこれまで以上に強く求められることになります。
そのための原資となる法定福利費が発注者から適切に支払われていない場合は、これが適切に支払われるよう、受注者側からも求めていく必要があります。
国土交通省も法定福利費が着実に流れるよう、ダンピング対策や法令遵守の徹底、発注者や元請などへの働きかけを行うとともに、事業主負担分の法定福利費の額が予定価格に適切に反映されるよう、国土交通省直轄工事の積算方法を見直しています。
また、平成25年4月から適用されている設計労務単価では、本人負担分の法定福利費相当額をきちんと反映し、併せて建設業団体、公共発注者及び民間発注者団体に対し、技能労働者への適切な水準の賃金支払い、社会保険等の加入の徹底等について要請を行うなど、環境整備を進めています。また、元請企業から下請企業、さらには技能労働者にまで法定福利費が行きわたるよう、法定福利費を内訳明示した見積書の活用を関係者一体となって推進しています。