一人親方・個人事業主・フリーランス…何が違うのか?

一人親方とは

一人親方(ひとりおやかた)とは、建設業などで労働者を雇用せずに自分自身と家族などだけで事業を行う事業主のことを言います。つまり、従業員(日雇・パート・アルバイトを含みます。)を使用していない方を言います。

また、一人親方は、基本的に個人で仕事を請け負うのも特徴です。そのため、企業に雇用されて働くのとは異なり、労働者とはみなされません。

請負契約のため、一人親方は仕事の進行方法や量は自分で決められ、報酬は完了した仕事に対して支払われるのが一般的です。

労災保険の特別加入制度における一人親方等

労災保険の特別加入制度における「一人親方等」は、常態として労働者を使用しないで行う者を言います。

一人親方、その他の自営業者が行う事業に従事する者、すなわち労働者以外の者で、その事業に従事している家族従事者も特別加入できます。
また、労働者を使用する場合であっても、労働者を使用する日の合計が1年間に100日に満たないときには、一人親方等として特別加入することができます。

労働安全衛生分野における一人親方等

労働安全衛生分野における「一人親方等」は、上記労災保険の特別加入制度における一人親方等に加え、中小事業主・役員・家族従事者を含む

一人親方になるメリット・デメリット

メリット

一人親方の主なメリットは以下です。

  • 上司や同僚がいないので楽
  • 雇われより単価が高い
  • 請負で仕事ができる
  • 受ける仕事を選べる
  • 自由な働き方ができる

上司や同僚がいないので楽

一人親方は、会社に所属していないので上司や同僚の指示を受けることもありませんし、現場を早く終わらせるのも長引いてしまうのも自分次第。
命令されることもなく、同僚に気を使うこともないので楽と言えます。

雇われより単価が高い

会社に雇われていると、経費や諸々の諸費用を会社が取って従業員に給料が支払われるわけですが、一人親方は自分が直接取引するので単価は上がります。

請負で仕事ができる

一現場いくらで、請け負うことも可能になります。

建設現場で働く職人は、一日いくらの日給月給で働いている方も多いです。
それは一人親方になっても同じで、常用だと元請けから1日いくらで貰うケースもありますが、

請負で仕事ができるという選択肢も増えます。

受ける仕事を選べる

仕事を受けるか受けないかを自分で選べるようになります。

雇われていると自分に決定権はありませんが、一人親方になると選択権は自分になります。

ただしこの点は、元請け企業との関係性も関わってくるので、必ずしも選べるとは限りませんが…

自由な働き方ができる

「自由」といってしまうと少し語弊がありますが、現場のスケジュールを自分である程度コントロールできると働き方の自由度も変わるでしょう。

これも元請け会社との関係性にもよるところですが、

積極的に仕事をしたい
ほどほどの仕事量でいい
など、ある程度は自分の判断でできるでしょう。

デメリット

一人親方の主なデメリットは以下です。

  • 仕事の幅が広げにくい
  • 確定申告する必要がある
  • 融資が受けにくい
  • 仕事がなくなるリスクがある
  • 健康を害すと収入も途絶える
  • 大企業と“直接”取引できない

仕事の幅が広げにくい

一人親方は、基本的に施工が一人です。
1日や1ヶ月にこなせる作業量が決まってきますので、仕事の幅は広げにくいとも言えます。

業種によっては、大きな現場は一人親方を複数集めてチームで仕事をするケースもありますが、請けれる仕事の範囲は決まってくるでしょう。

確定申告する必要がある

独立すると、個人事業でも法人登記していても確定申告は自分でします。

一人親方の方は奥様が事務を行っている方も多いです。
税理士にお願いするのも一つの方法です。

会社に雇われていると、確定申告は会社がおこないますので源泉徴収を受け取るだけで済みましたが、独立すると自分ですることになります。
デメリットというと大げさかもしれませんが、正直面倒な作業です。

融資が受けにくい

個人事業だったり、独立してすぐの場合は

融資が受けにくい
ローンの審査が通りにくい
クレジットカードが作れない
などのリスクがあります。

仕事がなくなるリスクがある

仕事の受注が無ければ当然、仕事がなくなるリスクもあります。

一人親方として独立する方は、元請けとの関係性を頼りに独立・起業するケースが多いですが、
一社のみの取引で仕事を受けていると、元請けから切られたり倒産すると仕事がなくなるリスクがあります。

健康を害すと収入も途絶える

一人親方は、自分で現場をこなす作業量が収入に直結するので、当然、事故やケガ、病気などで休むことになれば収入は途絶えてしまうというリスクがあります。

大企業と“直接”取引できない

大手の建設会社やゼネコンなどは、個人事業の一人親方とは直接取引をしないケースは多いです。

大きな建設現場に入る一人親方は、基本的に一次下請けや二次下請け会社の下請けになるケースが多いでしょう。

「フリーランス」「個人事業主」「自営業」の違い

フリーランスと個人事業主は、それぞれの定義に違いがあります。フリーランスと個人事業主を比較して、違いをご紹介します。

フリーランス

フリーランスとは特定の会社(法人)や団体に属さずに業務を行う、「働き方」を意味する言葉です。一般的なサラリーマンは会社と雇用契約を結んで働きますが、独立して業務を行うフリーランスは、会社に属さずにさまざまな顧客の仕事を請け負います。フリーランスはあくまで働き方を表す呼称で、法律(税法)による区分ではありません。

個人事業主

働き方を表すフリーランスと違い、個人事業主は税法上の区分を意味します。個人事業主は「継続して事業を行う個人」であり、税務署に対して個人事業の「開業届」を提出しています。

開業届を提出することで税法上の個人事業主となり、一定の控除が適用される青色申告が利用できます。青色申告は特別控除が利用できるだけでなく、専従者給与や経費の面でも優遇された申告方法です。つまり個人事業主は税法上の言葉で、働き方ではありません。

自営業

自営業は一般的に、会社に属さずに自ら独立して個人で事業を営む人のことです。個人事業主やフリーランスだけでなく、自ら会社を立ち上げて事業を行っている会社経営者なども自営業者に含まれます。明確な定義があるわけではありませんが、対象が幅広くなります。

フリーランスと個人事業主・自営業の関係

ここでフリーランスと個人事業主、自営業者の関係を整理します。働き方を意味するフリーランスには、個人だけでなく法人も含まれます。

例えば会社や団体に属さないフリーランスでも、法人化は可能です。また個人事業主であっても、働き方によりフリーランスに含まれます。

つまりフリーランスは働き方を表す大きな枠であり、それには個人・個人事業主・法人も含まれます。しかし個人事業主はあくまで税務署に開業届を提出した個人なので、法人化した個人は含まれません。

一方で、自営業者については、既に紹介の通り、会社に属さずに自ら独立して個人で事業を営む人のことで、この意味ではフリーランスも個人事業主も自営業者に含まれます。意味としてはフリーランスに近いですが、経営者が含まれる点が一つ違いになります。

フリーランスの働き方をするメリット・デメリット

自由な働き方であるフリーランスですが、しっかりとした計画性をもたないと事業の継続が難しくなるリスクが生まれます。フリーランスのメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

フリーランスの主なメリットは以下です。

  • ・仕事をする時間や場所が自由
  • ・多くの会社と仕事ができる
  • ・人脈が広がる
  • ・業種によっては無駄な経費がいらない

フリーランスは納期までに作業を終えることができれば、基本的に作業時間は自由で、朝でも昼でも深夜でも問題ありません。また作業に必要な環境があれば、自宅やカフェ、車中など、場所にも制限がなく自由です。

また多くの会社とつながることで、人脈が広がり次の契約に結び付く可能性があります。さらに営業にかかる経費なども少ないことから、作業単価が高くなるメリットが生まれます。

デメリット

フリーランスのデメリットは、組織に属さないことによる信用力の低下がありうることです。

  • ・新規顧客に対する信用力が低い
  • ・事業規模が小さい
  • ・収入が安定しない
  • ・縛るものがないので、生活が乱れやすい

フリーランスの多くは自宅などをオフィスにしており、それらが信用力の低下を招いているとされています。また作業規模も個人や家族単位なので小さく、新規顧客の獲得は既存顧客からの紹介などが必要なケースもあります。また仕事の獲得が安定せず、収入が安定しない場合がある点もデメリットといえるでしょう。

個人事業主のメリット・デメリット

税務署に開業届を提出し個人事業主になると、青色申告ができることから節税効果が見込めますが、それに伴い経理の負担がかかります。個人事業主のメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

個人事業主の主なメリットは以下です。

  • ・青色申告をすれば青色申告特別控除が利用できる
  • ・赤字を最大3年間繰り越しできる

税務署に開業届および青色申告承認申請書を提出すると、毎年の確定申告において青色申告が利用できます。青色申告が適用になると、「青色申告特別控除(10万円、55万円、65万円)」と「青色事業専従者給与控除」が利用でき、大きな節税効果が期待できます。

また赤字の繰り越しが最大3年間できるので、売上が安定しない開業数年は大きなメリットです。

青色申告については、別記事「青色申告とは?白色申告との違いは?申請の条件や控除の内容、提出書類などまとめて解説!」を参照してください。

青色申告とは?白色申告との違いは?申請の条件や控除の内容、提出書類などまとめて解説!

デメリット

税制上で有利な個人事業主ですが、それに伴うデメリットもあります。

  • ・特別控除を利用するには複式簿記が必要
  • ・雇用保険がない
  • ・経理処理など普段の作業が増える

青色申告において55万円もしくは65万円の青色申告特別控除を利用するには、確定申告時に「貸借対照表」と「損益計算書」を作成しなくてはなりません。普段の帳簿も複式簿記で作成する必要があることから、日常業務の負担が増えるでしょう。

また個人事業主は雇用保険に加入できないため、失業しても失業給付がもらえません。

自営業のメリット・デメリット

自営業者は、会社に縛られない働き方ができる一方で、事業の責任はすべて自分自身で担う必要があります。計画性が重要になる点はフリーランスや個人事業主と同じです。自営業のメリット・デメリットを紹介します。

メリット

自営業の主なメリットは以下です。

  • ● 働く時間や場所が自由に決められる
  • ● 自分の好きなことやアイディアを仕事にできる
  • ● 収入の上限がない
  • ● 定年退職がない

自営業者であれば、職種によっては働く時間や場所は自由に決められます。

また、事業を始めるタイミングでは、自分の好きなことやアイディアを仕事にできます。会社員に比べると、時間や場所も仕事の内容も制約は多くありません。

また、収入の面でいうと、収入が安定しないリスクがありつつも、収入の上限はなく、能力次第では会社員に比べると収入を上げられる可能性があります。

そのほか、自営業者については、定年退職がありません。会社員が定年となる年齢になっても仕事を続けられるのもメリットです。

デメリット

自営業のデメリットとしては、主に以下が挙げられます。

  • ● ケガや病気で働けなくなると、収入が途絶える可能性がある
  • ● 確定申告を行わないといけないため手間がかかる
  • ● 福利厚生がない
  • ● 個人の場合、すべて1人で行わなければならない

収入の上限がなく、会社員に比べて収入が上がる可能性がある一方で、ケガや病気で働けなくなった際には、収入が途絶えてしまう可能性があります。もちろん、事業が上手くいかない時に、収入が大きく下がるリスクもあります。

また、確定申告については、会社員であれば年末調整が必要なだけで、申告自体は会社が行ってくれますが、自営業者の場合は、自分自身で申告をする必要があります。会社員に比べると、申告のために手間と時間がかかります。

また、会社員で受けられていた福利厚生も、自営業者になると無くなります。会社員は、自営業者との比較となると福利厚生などのメリットも大きいので、この点は理解しておきましょう。

そのほか、事業についてはすべて自分自身で進めていく必要があり、会社員の時に比べると心細く感じる部分があるかもしれません。精神的な面でのデメリットも事前に想定しておく必要があるでしょう。