一人親方が建設業で独立する方法!必要な資金や資格、開業届、建設業の許可等まで

建設業は技術力がものをいうため、まずは一人親方として独立し、軌道に乗ってから従業員を雇う形が多いようです。独立開業するにあたり、

  • 開業資金
  • 拠点となる事務所
  • 開業届の提出
  • 専任の技術者の資格取得
  • 建設業の許可など手続きや準備が多くあります。

独立開業に向けて、1つずつ着実に準備することが大切です。また、独立すると仕事の受注や営業が必要になるため、技術力だけでなく人脈を作っておくことが大切です。

建設業で働く方法は建設会社に勤めるだけでなく、自分の技術を活かして独立するという方法もあります。しかし、会社員から独立開業するにあたり、何から準備すればいいのかという疑問を持つ方も少なくないでしょう。

独立を成功させるためには、6つのステップを踏むことがポイントです。今回は建設業における独立の事情、独立に必要な準備と流れを解説していきます。

■建設業で独立する前に知っておくこと

建設業で独立する方法は、一人親方から始めることが一般的です。おもに大工や、型枠や塗装、左官、クロス貼りなど、1人で作業ができる建築系の業種で独立するケースが多いようです。建設業は手に職をつけられるため、あらゆる業種のなかでも独立しやすいといえます。

なお、1人親方の仕事は新築だけでなく、リフォーム関連の需要も見込めます。1人親方として独立した後、軌道に乗ってから従業員を雇うパターンが一般的な流れです。

建設業で独立するにあたり、フランチャイズも方法の1つです。フランチャイズは本部と加盟店契約を結び、加盟金やロイヤリティを支払い、商標を利用する権利を得るものです。フランチャイズは知名度があることから集客しやすく、部材の一括仕入れによるコストダウン、会社経営のサポートが受けられるなどのメリットがあります。

建設業で独立すると『資金繰り』が難しいといわれることがあります。しかし、フランチャイズはロイヤリティの支払い義務があるものの、本部のサポートがあるので資金繰りを学ぶことも可能です。

また、建設業で最も注意が必要なのは労災事故です。工事現場は大なり小なり危険なことが起きやすい環境です。重大な事故が起きた場合、損失を補償しなければならないため、安全管理を重視する必要があります。

■建設業で独立するまで

建設業で独立するには、施工の技術や資金、人脈など様々な準備が必要です。そこで、会社員や作業員から、独立開業するまでの流れと必要な準備をステップ形式で紹介します。

◇まずは企業で働く

建設業で独立するには、自分が専門とするスキルや経験を身につけることが重要です。いきなり独立を目指しても成功するとは限りません。

建設会社の社員や下請けの作業員として経験を積むことから始めることが大切です。

◇専任技術者になれる資格の取得を!

その会社に常勤して、請負契約の適切な締結やその履行の確保のための業務に従事することを要する者で、「専任技術者」としての資格を有することを証明した者をいいます。

建設業に関して専門的な知識や経験を持つ人のことであり、建設業をやっていこうと考えてる方にとって、会社等に建物を建てる技術者がいなければ仕事になりません。建設業法に基づいて建設業を営もうとする場合には、専任の技術者を置く必要があります。専任技術者がいなければ建設業許可を取得することは出来ません。また許可取得後に専任技術者がいなくなれば、代わりの方がいない限り許可を維持することができません。

建設業の許可を得るためには、一定期間以上の経営経験、許可業種の工事の技術と資格、営業所に配置する専任技術者が必要です。一人親方から始める場合、専任技術者になれる条件を満たすこと、その上で、資格を取得しておくことが重要になります。

専任技術者になるには、10年以上の実務経験、学歴と実務経験の要件、資格の取得のいずれかを満たす必要があります。いち早く専任の技術者になりたい場合は、資格を取得するのがおすすめです。

専任技術者になれる資格は、施工管理技士(土木・建築・電気など)、建築士、技術士などの国家資格、職業能力開発促進法に基づく技能検定などが挙げられます。そして、一定の要件を満たすと、専任技術者に加え、工事現場に配置する主任技術者を兼任することも可能です。

◇開業資金や事務所の準備

独立開業には事務所や工具などといった備品の準備が必要です。事務所は賃貸でもいいですし、自宅の一部で開業しても構いません。賃貸の場合は賃料を経費にすることも可能です。

デスク、電話やFAXパソコンインターネット回線などの事務所の準備、工事に使用する工具にもお金がかかります。購入ではなくリースにする方法もありますが、独立当初は手持ちのものを使うのもおすすめです。

◇開業届の提出

一人親方として個人事業主になる場合、税務署に開業届を提出します。開業の際、添付資料や初期費用は必要ありません。税務署に提出した開業届の写しは、助成金の申請や銀行口座の開設で必要になるため、必ず保管しておきましょう。銀行口座は事業用とプライベート用に分けておくと、帳簿付けがしやすくなります。

なお、税金が優遇される青色申告で改行したい場合、3月15日、あるいは1月16日以降に開業した場合は事業開始から2ヶ月以内に申請する必要があります。

まずは個人事業主で実績を積み、売上が上がったら法人化すると良いでしょう。法人化とは会社を設立することで、節税や社会的な信用度の向上が期待できます。また、個人事業主は自分自身に給料を支払うことはできませんが、法人化すると経営者は役員報酬を得られます。

法人化するには会社を登記する必要があります。社名や事業目的資本金役員構成事業目的を決め、登記に必要な定款などの書類を作成します。公証人による定款認証を受け、法務局に登記申請するまでが、会社設立の流れです。

◇建設業の許可を取得する

一人親方の場合、1件の請負金額が500万円を超えると、個人・法人を問わず建設業の許可が必要です。500万円未満の軽微な工事を請け負う場合、建設業の許可は取得しなくても問題ありません。

ただし、同業他社の事情や元請会社の要請などで、500万円以下の工事を請け負う個人事業主でも、建設業の許可を取得するケースが増えています。公共工事は受注できる、元請けからの信頼度が高くなる、建設業の許可の申請書類が少ないといったメリットがあります。

建設業の許可を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • ・ 経営業務の責任者がいる
  • ・ 専任技術者の配置
  • ・ 資本金などの財産的な基礎がある
  • ・ 請負契約に対し、不正や不誠実な行為をしない誠実性
  • ・ 失格要件に該当しない

独立後に実績を積んでから、建設業の許可を取得すると仕事の幅が広がります。ただし、個人事業主で許可を取得し、後に法人化する場合、改めて建設業の許可の取得が必要になるので注意しましょう。

◇元請けなどから仕事を受注する

一人親方にせよ、従業員を雇うにせよ、元請けから仕事を受注しなければなりません。ゼネコンやハウスメーカーの下請け、または1次下請け、2次下請け、自社で仕事を受注するといった方法が挙げられます。独立後の仕事の受注は、営業力や人脈があった方が望ましいといえるでしょう。

人脈を構築することに役立つのが、建設会社で働き、評価を得ることです。会社員で働くなかで横のつながりを築いておくことは、独立を軌道に乗せる重要なポイントといえるでしょう。