一人親方は開業届を出すべきか?メリットと手順!

一人親方になるなら開業届を提出すべきと聞いても、「開業届とは?」「必ず提出すべきなの?」「どんな手続をすればいいのか?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

開業届にはさまざまなメリットがあります。一方で、注意点として、多少のデメリットについても知っておいたほうが良いでしょう。

今回は、開業届を出すべきか否か、メリットとデメリットも含めて解説します。開業届を出す手順も説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。

一人親方は開業届を出すべきか?その必要性は?

一人親方は、必ず開業届を提出しなければならないのでしょうか。また、提出しなかった場合には、どうなるのかについても説明します。

開業届は提出の義務があることを忘れずに!

一人親方に限らず、個人で事業を始める場合には、所得税法第229条により、開業届を税務署長に提出することが定められています。

開業届の提出期限は、基本的には事業開始から1か月以内です。開業届を提出して、はじめて公的に個人事業として成立します。

一人親方と個人事業主は厳密には異なりますが、開業届の提出義務があることに変わりありません。

ちなみに開業届を出していない一人親方でも、気づいた時点で提出すれば受け付けてもらえます。提出した期日が開業から1か月以上経っていても、ペナルティなどはないようです。

ただし、実際に事業を始める前に開業届を出すことはできないので、注意しましょう。

開業届を出さなくても罰則はない

一人親方は開業届を出す義務があるものの、提出しなくても罰則はありません。実際、一人親方になってしばらく経っても、開業届を出していない方はいるでしょう。

しかし、開業届を出せば、複数のメリットが得られます。個人事業主としてはプラスになるため、開業届を出す意義を今一度確認してみてください。

一人親方が開業届を出すメリット5つ

①青色申告ができる

②事業用の銀行口座を開設できる

③公的に個人事業主として認められる

④小規模企業共済に加入できる

⑤事業主を対象とする給付金を受け取れる

①青色申告ができる

開業届を提出すると、確定申告時に青色申告ができるようになります。一人親方も含め、個人事業主は毎年必ず確定申告をして、その年の所得を申告しなければなりません。

確定申告には以下の2種類があります。

青色申告
白色申告
青色申告は、最大で65万円の「青色申告特別控除」を受けられるという節税メリットがあります。また、最長で3年赤字を繰り越せるため、黒字になった年に所得税を節税できるでしょう。

白色申告は、税務上の特典はありませんが、青色申告より事務手続きが多少簡単という特徴があります。継続する事業でない場合や、利益が少ない場合には白色申告を選ぶと良いでしょう。

ちなみに、青色申告するには、「青色申告申請書」を税務署に提出しなければなりません。申請書の提出期限は以下の2つです。

  • 事業開始日から2か月以内
  • 青色申告しようとする年の3月15日まで

開業した年から青色申告したい場合は、開業届の提出時に、青色申告申請書も一緒に出しておくと良いでしょう。

②事業用の銀行口座を開設できる

開業届を提出後は、事業用の銀行口座が開設できます。事業用の口座は個人名でも構いませんが、開業届に屋号を記載しておけば、屋号での口座が開設可能です。

屋号つきの口座開設のメリットとしては、取引先とお金のやりとりをする際、個人名の口座よりも信頼されやすいことが挙げられます。仕事のお金とプライベートのお金を分けて、しっかり管理しているという印象を与えられるからです。

実際、仕事とプライベートの入出金を明確に分けておくと、帳簿づけなどもスムーズになります。開業届を出したら、事業用の口座をつくっておきましょう。

③公的に個人事業主として認められる

個人事業主として公的に証明されるのも、開業届を出すメリットです。さまざまな手続きをする際、開業届にある個人事業主番号を求められる場合があります。

たとえば、以下のような手続きをするときです。

  • 事業用クレジットカードを作成する
  • ビジネスローンを組む
  • 銀行の融資を受ける
  • 日本政策金融公庫に申請する など


上記のような手続きをおこなう際、独立したばかりの個人事業主では審査が通らない場合もあります。開業届によって事業を起こしたことが公的に認められれば、社会的な信用を得やすくなるため、各種手続きがスムーズにおこなえるでしょう。

④小規模企業共済に加入できる


開業届を提出すると、小規模企業共済に加入できるという利点があります。小規模企業共済とは、簡単に説明すると、「小規模な企業のための退職金制度」です。廃業するときや退職するときのために、退職金代わりに資金を積み立てられます。

加入対象は、個人事業主や小さい法人の役員、経営者などです。企業に属さない一人親方でも、廃業したときの資金準備ができるため、計画的なマネープランを立てられるでしょう。

また、小規模企業共済の掛金は全額控除されるため節税にもなります。資金の貸付制度などもあるので、事業をおこなう上で支えとなるに違いありません。

開業届を提出したら、小規模企業共済への加入も検討してみてください。

⑤事業主を対象とする給付金を受け取れる

政府からの給付金をスムーズに受け取れるのも、開業届を出すメリットです。給付金の種類によっては、開業届などで、個人事業主であることを証明しなくてはなりません。